山本七平
2017/09/16 16:27
一下級将校の見た帝国陸軍、山本七平の「空気」の研究を読んだのは6年前だが、先日NHKで放送されたインパール作戦関連の本を探していて、目に留まったので買ってみた。中学・高校とプラモやウォーゲームにはまっていて戦記物を色々読んではいたが、日本陸軍は読んだことが無かった。全くそそられなかったからだ。戦争末期、砲兵隊少尉としてルソン島で従軍した筆者の目で、帝国陸軍の様々な問題点を暴いている。まず驚いたのは、末期に至るまで米国とのジャングルでの戦闘を全く想定せず、訓練も準備もしていなかったことだ。組織の自転、形式的な数だけ合えば中身は問わない員数主義、大声でどなり暴力をふるう者が権力を持つ気魂の演技、階級よりも動物的攻撃性に基づくトマリ木の秩序、死の臨在による生者への絶対支配…。今現在のブラック企業、運動部、いじめ、そしてIS等々、組織の闇を理解するための必読書だ。
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